レコメンドエンジンとは?ECサイトにおける4つの仕組みと必要な機能を解説

ECサイトを閲覧中に、興味を引くコンテンツや商品が表示されたり、自分が商品を購入した際に関連する商品が表示される仕組みを「レコメンド」と呼び、レコメンドを行うシステムを「レコメンドエンジン」と呼びます。

昨今、レコメンドエンジンは、ECサイトにおいて顧客の新たな購買意欲を刺激し購入機会を増加させるために欠かせない手法となっています。

この記事では、レコメンドエンジンの仕組みや導入のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

レコメンドエンジンとは?ECサイトにおける役割

レコメンドエンジンは、ECサイトやWebサイトで関連性の高い商品やコンテンツをユーザーに提案するためのシステムです。レコメンドエンジンは、ECサイト以外にも、ニュースサイトや情報ポータルサイトなどでも利用されています。

ECサイトにおけるレコメンドエンジンの多くは、ユーザーの過去の閲覧履歴や購入履歴などからデータを収集し、ECサイトにある特定のアルゴリズムや運営者が独自に設定したルールに基づいて、関連性の高い商品情報を選択し、ユーザーにおすすめします。

ECサイトでよくあるレコメンドエンジンを活用した事例は下記のようなものです。

  • 商品詳細ページに記載する関連商品情報の訴求
  • 購入後のおすすめ商品のメール配信
  • トレンドに合わせた特集コンテンツの商品情報の訴求

ECサイトでよく見る「この商品を購入したお客様はこちらの商品も閲覧しています」「こちらもセットで購入しませんか」などの提案に、レコメンドエンジンが利用されています。

そのほかにも、レコメンドエンジンを活用し、個別ユーザーごとに割引クーポンや人気商品ランキング、興味のあるコンテンツなども表示することが可能です。

ECサイトでのレコメンドエンジンの役割は「ユーザーの購買意欲を高め多くの商品を購入してもらうこと」です。レコメンドエンジンを活用する際には、ユーザーの行動履歴や傾向の分析はもちろん、商品の特徴を細部まで理解しておくことでより効果的な施策実施が可能となるでしょう。

レコメンドエンジンに適用される4つの仕組み

レコメンドエンジンで利用されるレコメンド(提案)の仕組みは主に以下の4つです。

1. ルールベースレコメンド

  • 特徴:特定のセグメントに基づいてルールを設定し、関連する商品やコンテンツを提示する方法
  • 活用例:ECサイト内の特集コンテンツやECサイト内のTOPページ
  • メリット:特定のセグメントに合ったレコメンドが可能であり、運営者が商品を重点的にプロモーションが可能。
  • デメリット:運営者のルールが顧客の要望と一致しない場合、商品購入率が低下する可能性があります。ABテストなどで効果を検証する必要があり工数がかかる

ルールベースレコメンドとは、サイト運営者が特定のセグメント(分類)に基づいてルールを設定し、関連する商品やコンテンツを提示するレコメンド方法です。

例えば、バレンタインデー特集を見たユーザーに対して、バレンタインデーでよく購入される料理器具や人気のチョコレートをレコメンドするなどの事例が挙げられます。ただしルールベースレコメンドで注意すべきなのは、これらのルールを運営者が決めなければいけないということです。

つまり、運営者側がレコメンドしたい商品や情報の内容が、顧客が求める情報ではなかった場合に商品購入率が下がるなどのデメリットがあります。

そのため、一般的には商品やユーザーの属性ごとにABテストなどを行いながら、どの表示が最も効果的なのかを判断する必要があります。

ルールベースレコメンドを適用する場合は、市場におけるユーザー心理と商品の特徴理解を深め、顧客の行動や嗜好を予測しながら、最適なルールを設定する必要があるでしょう。

2. コンテンツベースフィルタリング

  • 特徴:ユーザーの閲覧履歴や商品属性を基に商品をレコメンドする手法
  • 活用例:ECサイト内で同じジャンルの別商品をレコメンドする
  • メリット:ユーザーの好みに合った商品を紹介し、購買率を向上させることができる。
  • デメリット:関連しない商品や潜在的ニーズの商品をレコメンドできないため、限定的な範囲のレコメンドになる

コンテンツベースフィルタリングは、ユーザーが閲覧したコンテンツと商品の属性を基に別の商品をレコメンドする方法です

例えば、特定のメーカーの「特定の車種」を閲覧したユーザーに同じメーカーの「別の車種」をレコメンドするなどが挙げられます。しかし、コンテンツベースフィルタリングでは、車種や車と直接的に関係のない「日除けシート」や「吸い殻入れ」などの車内でよく使われるアイテムのレコメンドは原則できません。

そのため、ユーザーにとっては似た属性の商品のみがレコメンドされることで、思っても見なかった商品やユーザー本人すら気づいていない、潜在的なニーズを解決する商品をレコメンドできないデメリットがあります。

コンテンツ商品の属性に注目し、ユーザーの好みと一致する商品を紹介することで、購買率を高めることができるため、業界や業種に特化したECサイトにおすすめの仕組みです。

3. ハイブリッドフィルタリング

  • 特徴:ルールベースレコメンドとコンテンツベースフィルタリングを組み合わせた仕組み
  • 活用例:特定の商品に関連性のある別ジャンルの商品のレコメンド
  • メリット:ルールベース・コンテンツフィルタリングのレコメンドのデメリットを相殺し、より効果的なレコメンドが可能になる。
  • デメリット:複雑なロジックの組み合わせが必要であり、運営者が適切なルールを設定する必要がある

ハイブリッドフィルタリングとは、上記2つで紹介した「ルールベースレコメンド」と「コンテンツベースフィルタリング」を掛け合わせた仕組みのことを指します。

ハイブリッドフィルタリングを行う目的は、上記2つのレコメンドのデメリットを打ち消すために用いられることが多いです。

そのため、コンテンツベースフィルタリングにより発生する部分的なレコメンドを解消できるよう、検索ニーズに合わせて幅広くレコメンドできるようなルールをECサイト運営者が指定する必要があります。

たとえば、特定の車種をみたユーザーには同じメーカーの別の車種をレコメンドしながら、そのユーザーが過去に車でよく使う付属アイテムを閲覧していた場合は、そう言ったアイテムもレコメンドするなど。

2つのレコメンドロジックを組み合わせて、ユーザーニーズを捉えたレコメンドを実現できます。

4. 協調フィルタリング

  • 特徴:ユーザーの行動履歴や購入履歴などを元にしてレコメンドする手法
  • 活用例:ECサイト内でのリターゲティング訴求
  • メリット:個々のユーザーの好みや嗜好を反映し、よりパーソナライズされたレコメンドが可能
  • デメリット:新規ユーザーや特殊な好みに対応しづらい場合があり、データの不足によってレコメンドに制約がかかるケースがある

協調フィルタリングとは、ユーザーの行動履歴や、購入履歴などの情報を元にレコメンドする仕組みです。

これまでに紹介したルールや指定した条件を元にしたレコメンド方法とは異なり、ユーザーの行動に応じたレコメンド方法となります。

ECサイトにおける協調フィルタリングには、以下の2種類のレコメンド方式が存在します。

1. アイテムベース

アイテムベースとは、ユーザーが購入したアイテム(商品)の属性や特徴から別のアイテムをレコメンドする仕組みを指します。

例えば、とあるメーカAの冷蔵庫を検索したユーザーが、違うメーカーBの冷蔵庫の購入率が高いとわかればメーカーBのレコメンド頻度を強めるのが、アイテムベースのレコメンドとなります。

2. ユーザーベース

ユーザーベースとは、特定のユーザーがECサイト内で検索したデータを元に、過去の閲覧履歴などを考慮したレコメンドの仕組みを指します。

アイテムベースとの違いは、商品の関連性の違いです。
ユーザーベースでは、ユーザーの検索履歴や行動履歴に応じたレコメンドをするため、特定の商品を検索した際でも、過去に検索した全く別の商品をレコメンドすることもあります。

たとえば、冷蔵庫を検索したユーザーが過去に電子レンジを検索していた場合、おすすめの電子レンジをレコメンドするケースもあるでしょう。

このように購入した商品とは関係のない商品をレコメンドすることもありますが、ユーザーにとっての検索状況を考えると、ユーザーに合わせたユーザーベースレコメンドで購入率が上がる可能性もあるでしょう。

ECサイトでレコメンドエンジンを活用するために必要な機能3つ

レコメンドエンジンを導入する際は、ECサイトとシステムを連携するのが一般的です。

レコメンドエンジン自体にも様々な機能が付帯していることが多いため、自社のECサイトの特徴に合わせて、より購入率を高められるレコメンドを実現するために、どんな機能があると良いかを吟味する必要があります。

レコメンドエンジンを選ぶ際には、下記で紹介する機能を元にご検討ください。

1. レコメンド機能

レコメンド機能は、レコメンドエンジンの主目的な機能であると言えるでしょう。上記で説明したようにレコメンドには様々なレコメンドロジックがあるため、自社にあったレコメンド手法を採用しましょう。

現状、すでにECサイトにユーザー行動など蓄積したデータベースが存在している場合は協調フィルタリングなどを活用し、ユーザーにとって最適な提案が出せるような形のレコメンドが良いでしょう。

2. データベース機能

レコメンドエンジンの中には、ECサイトと連携することで自ら情報を収集し、データベースを構築できる機能も存在します。エンジンによって機能の有無はそれぞれですが、商品情報がまとまったデータベースはあっても、過去のユーザー行動に関するデータベースがないサイトもあるでしょう。

顧客データの中には下記のように、ユーザーの属性ごとに必要なデータが存在します。

  • ユーザーのページ閲覧履歴
  • ユーザーのサイト滞在時間
  • ページごとのCTAクリック率
  • 流入経路ごとのCVR(コンバージョン率)

レコメンドロジックはこれらのユーザーの行動情報を元に最適な商品・コンテンツをレコメンドするため、自社の商品や業種に合わせて必要なデータを選択しましょう。

3. ABテスト機能

レコメンドエンジンを活用する際は、ABテスト機能があると良いでしょう。

レコメンドエンジンにおけるABテストとは、実際にユーザーごとにレコメンドした商品・情報をパターン分けし、一定期間中に比較することでどちらのレコメンドがユーザーにとって適切だったかを判断する機能です。

レコメンドの質はユーザーの状況によって大きく変わる可能性があります。特にトレンドや季節に影響されやすい、ファッションや家具・家電などを扱うECサイトでは、こういったテストを繰り返すことが売り上げを向上させる上で重要な指標となるでしょう。

【h2】ECサイトでレコメンドを行うデメリットは?

ECサイトでレコメンドエンジンを利用することは多くのメリットがあるものの、ECサイトの状況によってはレコメンドエンジンがデメリットにはたらいてしまう可能性もあります。

以下で詳しく確認しましょう。

商品数が少ないECサイトでは効果が見込めない

商品数が少ないECサイトでは、そもそも関連する商品も少ないことでレコメンドエンジンが機能しづらい可能性があります。

レコメンドエンジンは構築や導入に費用がかかってしまうため、導入をする前に商品数が中長期的に担保されるかどうかを確認し、導入の意思決定をしましょう。

レコメンドの仕方を間違えると離脱率が上がる恐れがある

レコメンドはユーザーにとって関連性のある商品やユーザーにとって利益のある商品情報を提供することが一番の価値です。

しかし、レコメンドの設定を間違えたり、曖昧な設定のままではユーザーが欲しい商品情報を届けられず、かえってECサイトの成果を落としてしまう原因にもなります。

自社のECサイトの特徴を理解した上で、自社ECサイトに合ったレコメンドエンジンを導入しましょう。

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ECサイトにおいて、商品情報をレコメンドすることは売り上げを向上させる重要な打ち手のひとつです。しかし、商品の属性やECサイトを訪れるユーザーによってレコメンドする方法は変えていかなければなりません。

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