ECサイトの分析手法とは?重要な12の指標や無料の分析ツールも解説

「ECサイトの売上を伸ばすための分析方法がわからない」
「ECサイトの分析方法が合っているか不安」

といった悩みや不安を抱える方も多いのではないでしょうか。ECサイトは、市場の動きが活発なため、常に分析を繰り返す必要があります。しかし、ECサイトの分析方法が間違っていると、一向に結果を出すことはできません。

そこで本記事では下記4つのポイントを解説します。

・ECサイト分析で欠かせない手法について
・ECサイトの分析に必要な指標について
・正しく分析するための手順について
・効果的に分析するためのツールについて

ECサイトの分析を通して売上を伸ばしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ECサイトにおける分析の重要性

ECサイトで収益や売上金額を上げるためには、データ分析は必要不可欠です。

次のように購買データでは分からないユーザーの行動が把握できるため、ECサイトの課題発見・改善に大いに役立ちます。

  • どのような流入経路でECサイトに流入しているか
  • どのページが多く見られているか
  • どのページを見たら購入率が高まるのか
  • どのページを見たら離脱率が高いのか

たとえば、以下のようにデータ解析をすることができます。

  • スマホからのアクセスが多いのにモバイルデバイス最適化ができていなかった
  • A商品を見た人の多くはB商品ページにも訪れている
  • 離脱率が高いぺージには他のページに誘導するリンクがなかった

このように、ECサイトの課題を洗い出して改善を繰り返すことで、利益や売上を伸ばすECサイトの構築が可能となるでしょう。

ECサイト分析で欠かせない3つの手法

ECサイト分析で欠かせない3つの手法は下記のとおりです。

  1. 競合・関連サイトと比較する
  2. 時系列で分析する
  3. MECE分析で漏れ・ダブりを無くす

ECサイトの分析手法ついて理解度が低いと、売上を伸ばすための施策が無意味になってしまう可能性があります。ECサイトの売上を向上させるためには、上記の手法を理解しておきましょう。

1. 競合・関連サイトと比較する

ECサイトの分析において、競合・関連サイトとの比較は欠かせません。競合他社の戦略や成功事例を把握し、自社の施策に活かせるからです。競合サイトの商品ラインナップや価格設定、プロモーション手法などを調査すれば、自社の差別化ポイントや改善ポイントを見つけられます。

ECサイト内には、同じような商品やサービスを販売している企業が多く存在します。その中で選んでもらうには、自社にしかない価値を提供することが大切です。

2. 時系列で分析する

ECサイトの分析では、データを時系列で分析することも欠かせません。時間の経過に伴う変化やトレンドを把握すると、Webサイトの成長や課題が把握でき、適切な施策が立案できるからです。

時系列分析には、過去のデータをもとに将来の予測を行う方法や、時間の経過に伴う指標の変化を把握するトレンド分析などがあります。たとえば、セールスデータやトラフィックデータを月や季節ごとに分析し、需要の変動や売上のトレンドを把握します。集めた分析結果をもとに、季節に応じたプロモーションや在庫管理の最適化など、戦略的な施策ができるでしょう。

3. MECE分析で漏れ・ダブりを無くす

MECEとは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveの略語で、漏れやダブりを無くすための方法です。ECサイトの分析において、問題解決や分析の枠組みを整理し、漏れやダブりを無くすには、MECE分析が欠かせません。

MECE分析では、対象を相互に独立し、かつ網羅的なカテゴリに分類し、データや情報を整理します。たとえば、ECサイトの分析において、売上の要因をMECE分析すると下記のような手順を踏みます。

・商品カテゴリの分析
・販促施策の分析
・顧客セグメントの分析

MECE分析は、複雑なデータや情報を整理し、洞察を得るための強力な手法です。ECサイトの分析においては、競合・関連サイトとの比較、時系列分析、そしてMECE分析を組み合わせて効果的な戦略立案や施策改善を行い、CVRの向上を図りましょう。

ECサイトの分析に必要な12の指標

ECサイト分析の手法について理解した次は、指標も把握する必要があります。指標を理解しておくと、どこを分析してどんな対策が必要なのか明確になるからです。

ECサイト分析に必要な指標は下記のとおりです。

  1. 売上
  2. アクセス数
  3. CVR
  4. 1人あたりの顧客単価
  5. LTV(生涯顧客単価)
  6. 直帰率
  7. 離脱率
  8. リピート率
  9. 流入経路
  10. ROAS(総資産利益率)
  11. ROI(投資利益率)
  12. CPA(顧客獲得)

1. 売上

ECサイトの分析において、売上は最も重要な指標のひとつです。売上の推移を把握できれば、ビジネスの成果や成長を評価できるからです。

売上の分析では、日次、週次、月次、年次のデータを比較し、トレンドや季節性を調査します。さらに、売上を商品カテゴリや販促施策などの要素に紐付けて分析すれば、売上を伸ばすための施策や改善点が特定できるでしょう。

2. アクセス数

ECサイトの分析において、アクセス数はサイトの集客力や認知度を評価するために必要な指標です。アクセス数の分析では、サイト全体のトラフィックデータや各ページの閲覧数、ユーザーの流入経路などを把握します。

とくに、新規ユーザーの獲得やSEO対策の効果を評価するうえで重要な情報です。アクセス数の変動や傾向を把握できれば、集客施策の改善やマーケティング戦略の見直しができるでしょう。

3. CVR(コンバージョンレート)

CVRはECサイトにおける重要な指標であり、訪れたユーザーが実際に購入や目的の行動をとった割合を示します。CVRの分析では、コンバージョンの定義や目標設定が重要です。CVRを算出するときは下記の式で求められます。

・コンバージョン数÷ユーザー数
・コンバージョン数÷セッション数

上記の計算式を使用して、異なるページやセグメントごとのCVRを比較すれば、改善ポイントが特定できるでしょう。

4. 1人あたりの顧客単価

1人あたりの顧客単価は、ECサイトの売上効率や収益性を評価するうえで必要な指標です。1人あたりの顧客単価の分析では、平均購入額や平均注文数、クロスセルやアップセル効果などを評価します。

また、異なる顧客セグメントやキャンペーンごとの顧客単価を比較すれば、収益性の高い戦略を立案できるでしょう。仮に1人あたりの顧客単価が低い場合は、アップセルやリピート購入の促進、商品のバンドル販売などの施策を検討しましょう。

5. LTV(生涯顧客単価)

LTVとは、顧客の生涯価値を示す指標です。LTVの分析では、顧客のリピート率や平均購入頻度、平均購入期間などを考慮し、顧客の継続的な収益性を評価します。顧客のLTVを高めるためには、顧客満足度の向上やリピート購入を促進する施策、クロスセル、アップセルなどの戦略が重要になるでしょう。

6. 直帰率

直帰率は、ECサイトに訪れたユーザーが1ページのみで離脱する割合を示します。直帰率の高さは、ユーザーエクスペリエンスやコンテンツの魅力に問題がある場合を示します。

直帰率の分析では、直帰率の高いページや入口ページを特定し、ユーザーの意図、課題を把握することが重要です。改善のためには、ページの読み込み速度の最適化、コンテンツの改善、ナビゲーションの改善などの施策を検討する必要があるでしょう。

7. 離脱率

離脱率は、ECサイトを訪れたユーザーがサイトを離脱する割合のことです。直帰率と異なり、離脱率はページごとに集計されます。

そのため、あるページで離脱するユーザーが多く、あるページでは次に進んでくれるユーザーが多いなど、ページ別の課題を把握しやすいことが特徴です。

離脱率の高いページを改善すれば、ECサイトの回遊性が高まり、より多くのページや商品を見てもらえるようになり、CVR改善にもつながります。

8. 流入経路

流入経路は、ユーザーが自社サイトに遷移してきたかを把握できる項目です。

主な流入経路は以下のものがあります。

  • オーガニック検索(検索エンジン)
  • 広告流入
  • SNS
  • 参照サイト

たとえば、アクセス経路のうち、検索エンジンからの流入が少ないときは、SEO対策を行うことで改善できます。Web広告経由のアクセス数が少ない場合は、広告設定の見直しが必要です。

9. リピート率

リピート率は、顧客の再購入率を示す指標です。ECサイトの分析では、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリピート購入を促すことも重要です。リピート率の分析では、リピート購入の割合や頻度、リピート購入までの期間などを評価します。

リピート率の高さは、顧客の満足度やロイヤルティの高さを示す場合があります。リピート購入を促すには、顧客への優待や特典の提供、メールマーケティングやリマーケティングの活用、顧客満足度の向上などが効果的な施策となるでしょう。

10. ROAS(総資産利益率)

ROAS(総資産利益率)は、広告やマーケティング活動の効果を評価するための指標です。ROASの分析では、広告キャンペーンごとのコストと売上を比較し、広告の収益性を評価します。

高いROASは広告予算の最適化や広告ターゲティングの改善を示します。ROASを向上させるには、明確なターゲット選定やクリエイティブの最適化、広告プラットフォームの適切な選択などが重要な施策となるでしょう。

11. ROI(投資利益率)

ROI(投資利益率)は、ECサイトのマーケティング活動全体の収益性を評価する指標です。ROIの分析では、マーケティング活動にかかるコストとそこから得られる売上や利益を比較します。

ROIの高さは、マーケティング活動の収益性や効果を示す重要な指標です。ROIを向上させるには、効果的なキャンペーンの選択と最適化、コスト削減の施策、効果測定の精度向上などが必要です。

12. CPA

CPAは、「Cost Per Action(コストパーアクション)」の略で、ユーザーアクションの単価のことを指します。一般的には、広告利用時に用いられる指標で、ECサイトでは広告における顧客獲得単価を指す項目です。

つまり、いくらの広告費でどれだけコンバージョン数を獲得できたかを把握できる指標となります。

CPAの算出方法は以下の通りです。

CPA = 広告費用/コンバージョン数

CPAが低い場合は、少ないコストで顧客を獲得できているということです。反対に、CPAが高い場合は、広告の効果を向上させるための施策を行わなければなりません。

CPAを改善するためには、広告設定の見直しや広告クリエイティブの最適化、LPの改善、A/Bテストの実施など、さまざまな試行錯誤が必要となるでしょう。

ECサイト分析を実施する4つのステップ

実際にECサイトを分析するための手段は下記のとおりです。

  1. 分析をする目的を明確にする
  2. 仮説と事実を比較する
  3. CVに近い指標から計画を立てる
  4. サイト改善と効果検証を繰り返す

ECサイトを分析するための手法と指標だけでなく、手段も理解できれば、戦略的かつ効果的な調査ができます。ECサイト運営者やWebマーケティング担当者は、ぜひ参考にしてください。

1.分析をする目的を明確にする

ECサイトの分析を実施するうえで、目的を明確にすることが重要です。そもそも、目的が明確に設定されていないと、何を分析するのか決められません。目的を明確にするときは、売上の向上やCVRの改善、顧客の獲得など、特定の成果や課題に関して設定しましょう。

2.仮説と事実を比較する

ECサイトの分析では、仮説と事実の比較が重要です。仮説では、特定の課題や説明を仮定した推測を行います。たとえば「商品ページの改善がCVRの向上につながる」という仮説を立てます。

仮説を検証するためには、適切な指標を選定し、実際のデータと比較しなくてはいけません。ECサイトの分析では、データの収集や分析を通じて、仮説の妥当性や影響度を把握し、有効な改善施策を導き出すようにしましょう。

3.CVに近い指標から計画を立てる

ECサイトの分析では、CVに直結する指標から計画を立てる必要があります。売上やアクセス数、CVR、顧客単価、LTVなどの指標は、サイトの成果や収益性に直結する重要な要素だからです。

これらの指標をもとに、問題の特定や優先順位を決め、改善施策の計画を立てます。たとえば、CVRが低い場合は、ユーザーエクスペリエンスやコンテンツの改善を重視するなどの施策を検討します。

ECサイト分析の効果をより高めるには、本記事で解説した手段がすべて必要です。ECサイト分析を通じて、売り上げを伸ばすためにも丁寧に実施しましょう。

4. サイト改善と効果検証を繰り返す

ECサイトの成果を高めていくにはPDCAサイクルを回すことが欠かせません。

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」の一連のサイクルのことを指します。

サイトを分析して満足するのではなく、常にサイトの改善と効果検証を継続的に繰り返すことが重要です。

市場や顧客のニーズは変化し続けるため、PDCAを繰り返すことでサイトの状態を最新に保ち、より効果的な施策を講じることが求められます。

ECサイト分析で意識すべき考え方とは?

ここからは、ECサイトの分析や改善において、意識したい考え方を3つ紹介します。

  • 収益を最大化する
  • 費用対効果を最適化する
  • 顧客の購買行動を想定する

それぞれ順に見ていきましょう。

収益を最大化する

ECサイトを分析して改善する目的は、収益を最大化することです。

利益を増やすために、どの指標を向上させるべきか、そのためにはECサイトをどのように改善するべきか検討することが重要です。

ECサイトの売上を構成する要素は、次の3つがあります。

売上 = アクセス数 × CVR × 購入単価

つまり、訪問者数を増やす、CVRを向上させる、購入単価を上げる、リピート率を向上させるといった施策が売上に貢献するということです。

収益を最大化するためにはどんな施策が必要になるかを検討すれば、自社のECサイトの分析・改善すべき箇所が見えてくるでしょう。

費用対効果を最適化する

ECサイトの収益を増やすとなると、売上を伸ばすことに注目しがちですが、運営にかかるコストや費用対効果を最適化することも大切です。

前述した売上の方程式には、運営コストの要素が含まれていません。

たとえば、広告費であればROIやROASなどの指標を測り、費用対効果が適切かどうかを把握します。そして、効果が薄い場合はより広告効果の高い手法に切り替えるといった対策が必要です。

また、商品パッケージの大きさを再検討して送料を抑えたり、商品管理ツールを導入して人件費を減らしたりといった工夫などが挙げられます。

ただし、闇雲にコストを削ろうとすると逆効果になる可能性もあるため、注意が必要です。売上自体が下がったり、顧客満足度が低下したりすることがないよう、費用対効果を最適化しましょう。

顧客の購買行動を想定する

ECサイトを分析する際は、顧客の購買行動を想定するようにしましょう。購買行動とは、ユーザーがサイトを訪問してから購入に至るまでの過程のことです。

購買行動を想定することで、より効率的に改善すべきポイントが見つかるようになります。

たとえば、AIDMAと呼ばれる顧客の購買行動のフレームワークを意識するのがおすすめです。

AIDMA(アイドマ)は、「Attension(注意)」「Interest(興味・関心)」「Desire(欲求・渇望)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字を取ったものです。

また、AIDMAから発展したフレームワークにAISAS(アイサス)というものがあります。

AISASは、「Attension(注意)」「Interest(興味・関心)」「Search(検索・情報収集)」「Action(行動)」「Share(共有)」のことです。

AIDMAとの違いは「検索」と「共有」です。近年はインターネットで商品の詳細や口コミを確認したうえで購入に至ったり、購入後にSNSや口コミサイトで共有したりするとされています。

これらを意識しつつ、ECサイトのページや商品情報、広告ターゲットなどを見直すことで、効果的な改善ができるようになるでしょう。

ECサイト分析におすすめのツール3選【無料あり】

ECサイトを分析するには、ユーザーのサイト内行動や属性を計測するためのツールが欠かせません。主要なツールの種類について解説します。

1. アクセス解析ツール

アクセス解析ツールは、ECサイトにアクセスしたユーザーの行動を計測するためのツールです。ユーザーの年齢や性別などの属性や、サイト内の各ページでの行動を把握することができます。

代表的なアクセス解析ツールは下記の通りです。

  • Google Analytics(グーグルアナリティクス)
  • Google Search Console(グーグルサーチコンソール)

Google Analyticsは、無料で使用できるアクセス解析ツールです。サイトに訪問したユーザー属性やページごとの閲覧数、CVRなどあらゆるデータを取得できます。

有料ツールに劣らない機能が備わっているので、積極的に活用するといいでしょう。

Google Search Consoleは、検索エンジンにおける順位やクリック率を計測できるツールです。SEOにおける課題や改善点の発見に役立つので、検索エンジンからの流入を対策したい場合は必須のツールと言えるでしょう。

2. ヒートマップツール

ヒートマップツールとは、ECサイトのページごとにユーザーが多く閲覧している箇所や、サイト上でのユーザー行動を可視化できるツールです。

ページの滞在時間や離脱率はアクセス解析ツールで計測できますが、ヒートマップツールではより細かなユーザーの動きを解析することができます。

代表的なツールとして、次のようなツールがあります。

  • Microsoft Clarity
  • ミエルカヒートマップ
  • User Heat

上記のヒートマップは無料で使える機能もあるので、ヒートマップツールを試してみたいという場合におすすめです。

3. A/Bテストツール

A/Bテストツールは、ECサイトのデザインなどが異なる2パターンのWebページを用意し、効果を比較検証するA/Bテストに役立つツールです。

代表的なA/Bテストツールには、次のようなツールがあります。

  • Googleオプティマイズ
  • Optimizely
  • DLPO

ツールを活用して効果測定や分析、データ管理などを行うことで、手動で行うより効率的かつ制度の高いテストの実施と効果検証が可能です。

A/Bテストツールを活用してテストを繰り返すことで、よりCVRの高いECサイトへと改善することができます。

ECサイト分析を行うならツール活用が効果的

ECサイト分析を行う際、Excelなどを利用して手作業で実施する企業もあります。しかし、手作業で進めていると時間がかかったり、分析結果にエラーがでたりすることも。また、分析中に市場が変化する可能性も考えられるでしょう。

このような状況を回避し、より効果的な分析を実施するにはツールの活用が必要です。ECサイト分析ツールを利用すれば、定めた指標の目的から最適な手段を見つけられます。

ECサイト分析の効果を最大限に活かし、売上を伸ばしたい方は、ぜひツールの利用を検討しましょう。

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