結論を先に言うと、生成AIが商品の根拠にするのは「ブランド公式サイト」と「専門メディア」が多い傾向にあります。 スキンケアとアパレルで4つのAIに104回質問し、541本の引用URLを分析したところ、この2種類だけで引用全体の約7割を占めました。一方で、ECモールであるAmazonの引用は全体の3%。特に興味深かったのは、「Amazonで買える商品を教えて」と名指しした16の質問でも、Amazonが引用されたのは4件だけ(すべてChatGPT)だったことです。AIにとっての商品情報源は、私たちが思うECモールとは違う場所にあるようです。
この記事では、AIが実際にどこの情報を見て「おすすめ」を組み立てているのかを、実測データで解説します。EC事業者が「AIに選ばれる」ために何をすべきかが見えてきます。
コンテンツ
調査の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | awoo(GEO計測ツール「awoo GEO Suite」を用いて実施) |
| 調査期間 | 2026年6月20〜23日 |
| 対象AI | ChatGPT(GPT)、Google AI Mode、AI Overviews(AIO)、Gemini |
| 対象カテゴリ | スキンケア・化粧水/アパレル(通勤・オフィス系) |
| 質問数 | 各カテゴリ6〜7問(悩み起点・比較・指名買い・Amazon名指しなど) |
| 計測方法 | 各質問を複数日にわたり2回ずつ計測 |
| 計測総数 | 104プロンプト/引用URL 541本 |
カテゴリは、あえて「Amazonが主戦場ではない」スキンケアとアパレルを選びました。ブランドや専門メディアが情報の中心にある領域で、AIがどこを見るのかを確かめるためです。各質問は1回きりではなく複数日に分けて計測し、たまたまの揺れを平準化しています。
AIはAmazonの商品を引用するのか?
今回の調査では、ほとんど引用されませんでした。 541本の引用のうちAmazon.co.jpは14本(約3%)にとどまっています。
さらに踏み込んで、プロンプトに明示的に「Amazonで買える商品を教えて」と指定した16の質問を見ると、Amazonが引用されたのは4件だけ。しかもその4件はすべてChatGPTによるもので、AI Mode・AIO・Geminiの3つは、複数日を通じてAmazonを名指しされても一度も引用しませんでした。Amazonを指定した場合でも、引用元はAmazonよりブランド公式サイトや専門メディアに偏る傾向が見られました。
わかりやすい例があります。「Amazonで買えるオフィス向けの無地のきれいめTシャツ・カットソーを教えて」とGeminiに尋ねたときの回答です。

Geminiは冒頭でこう答えました。
2026年現在、Amazonで購入できるオフィス向けの「きれいめ無地Tシャツ・カットソー」のおすすめをご紹介します。
そして、SOÉJU、AMERICAN HOLIC、United Athle、Hanes、nano universe など複数のブランドを、具体的な特徴つきで提案していました。たとえば「United Athleの5.6オンスTシャツは首回りが伸びにくく、白でも透けにくい」「nano universeのAnti Soakedシリーズは汗染みが目立たない特殊生地」といった具合です。
回答としては十分に作り込まれています。ところが、この回答が実際に引用していた情報源は、次の3つだけでした。
ねとらぼ(ニュースメディア)/soulberry(アパレル公式EC)/SOÉJU公式オンラインストア
「Amazonで購入できる」と明言し、複数の商品を具体的に挙げているにもかかわらず、根拠として参照していたサイトにAmazonの商品ページは一つも含まれていません。AIはAmazonの文脈で回答を組み立てながら、実際にはAmazon以外の専門メディアとブランド公式サイトを見ていたのです。これは今回の調査で繰り返し見られたパターンでした。
「ネット通販=Amazon・楽天」という感覚からすると意外な結果ですが、少なくとも今回調査したスキンケア・アパレル領域では、AIの購買相談はECモール外の情報源を中心に構成されていました。
補足:Google系AIは「Googleショッピング」へのリンクが目立った
ひとつ、プラットフォームごとの違いも見えました。今回のAmazon明示の質問では、Google系のAI(AI Mode・AIO)が、Amazonでも外部メディアでもなく、Google自身のショッピング枠(google.comの商品検索結果)へのリンクを多く引用していました。 一方ChatGPTは外部のブランド公式サイトやメディアを、Geminiは比較メディアを引用しており、引用先はAIによって異なりました。
同じ「Amazonで買える○○」という問いでも、どのAIに聞くかで、引用される情報源は大きく変わります。AI経由の流入を考えるうえで、見落とせないポイントです。
では、AIは何を見て商品を選んでいるのか?
AIが引用する情報源は「ブランド公式EC」と「専門メディア」の2つに集中する傾向が見られました。 引用先を種別に分けると、内訳は次のとおりです。※541本の引用URLを分類
- ブランド公式EC:35%
- 美容・ファッション専門メディア:33%
- Google/汎用:13%
- 医療・皮膚科系:9%
- SNS(YouTubeなど):4%
- Amazon:約3%
- その他ECモール(楽天・ZOZOTOWNなど):約3%
- 個人ブログ・その他:1%
具体的には、無印良品・ユニクロ・資生堂・コーセー・UNITED ARROWS・nano universeといったブランド公式サイトと、@cosme・LIPS・美的・BAILA・my-bestといった専門メディアです。AIは「ブランド自身が発信する一次情報」と「第三者がまとめた比較情報」の両方を根拠に、おすすめを組み立てていました。
ここからEC事業者が得るべき示唆はシンプルです。AIに引用される機会を増やすなら、モールの商品ページを整えるだけでは不十分で、自社サイトと専門メディアでの情報発信が重要になりそうです。 今回の調査では、この2種類が引用の多くを占めていました。
どのAIが、いちばん多くサイトを引用するのか?
外部サイトを最も多く引用したのはChatGPTでした。 1つの質問に対して平均10.0本のURLを引用しており、これは4つのAIの中で突出して多い数です。以下、AI Mode(平均4.5本)、AI Overviews(平均3.2本)、Gemini(平均3.1本)と続きました。

注目すべきは、ChatGPTが引用したURLの約9割(261本中230本)に utm_source=openai というパラメータが付いていた点です。これはサイト側が「ChatGPT経由のアクセス」を計測できるようOpenAIが自動付与するもので、ChatGPTが単に引用するだけでなく、引用先への流入を計測・誘導する仕組みを備えていることがうかがえます。実際にどれだけの流入があったかは本調査では計測していませんが、少なくとも外部サイトへの動線が設計されていることは読み取れます。
AI Overviews(AIO)とGeminiは引用が少なく、特にアパレルでは平均1〜2本程度のこともありました。引用元を絞り、回答テキストで完結させる傾向です。同じ「AIに聞く」でも、どのAIを使うかで提示されるリンクの数はまるで違います。
なぜスキンケアだけ「医療サイト」が引用されるのか?
ここまでは2カテゴリ共通の話です。しかし商材カテゴリをまたぐと、AIの情報の集め方そのものが変わります。
スキンケアカテゴリでは、引用全体の約15%が医療・皮膚科系サイトでした。クリニックの解説記事、さらには米国皮膚科学会(aad.org)まで引用されています。一方、アパレルカテゴリでこの種のサイトは0件でした。
しかも医療サイトの引用は、質問内容で大きく偏っていました。最も多かったのは「レチノール配合美容液の効果は?」という質問で、医療系の引用が集中していました。次いで「ビタミンC美容液の選び方」「敏感肌でも使える?」と続きます。つまり成分や効能を問う質問ほど、医療的な裏付けを持つ情報源が引用されやすい傾向が見られました。「コスパのいい化粧水を3つ」のような質問では、医療サイトはあまり出てきませんでした。
ここから言えるのは、「効果」が問われる商材(化粧品・健康食品・サプリなど)では、AIは情緒的なおすすめだけでなく、科学的・医療的な裏付けのある情報源を探しているということです。「好み」が中心のアパレルとは、AIの振る舞いが根本的に異なります。
AIの引用傾向は、ずっと同じなのか?
いいえ。AIの引用は時期によって変動します。これが最も実務的な注意点です。
今回の調査でも、Geminiのアパレルに対する引用本数が計測日によって動きました。6月22日は平均5.8本、翌23日は3.7本。同じ質問・同じカテゴリでも、わずか1日でこれだけ揺れます。今回は各質問を複数日計測したことで、この変動そのものを捉えることができました。
これはGoogleの検索順位と同じ構造です。AIの引用構造は固定されたものではなく、アルゴリズム更新・モデル変更・新しい情報源の台頭によって常に動く。 今日「自社公式サイトが引用されている」状態が、来月も続く保証はありません。
だからこそ、AIにどう映っているかを知るには、一度測って終わりではなく、検索順位を毎週チェックするのと同じように継続的に観測し続ける必要があります。これがAI時代のEC露出戦略の出発点です。
まとめ:EC事業者が今日から考えるべき3つのこと
- モール頼みだけに依存しない。 今回の調査では、Amazonは名指しされても引用されにくい傾向が見られた。自社公式サイトや専門メディアでの情報発信が、AIに引用される接点になりやすい。
- 商材に合った”根拠”を用意する。 効果が問われる商材では医療的・科学的な裏付け情報が、好みが中心の商材では比較されやすいメディア露出が、それぞれ引用につながりやすい傾向があった。
- 継続的に計測する。 AIの引用は時期によって変動する。一度きりのスナップショットではなく、定点観測で自社のAI露出を追い続けることが重要になる。
調査で使用した質問一覧
今回の調査で、各AIに実際に投げかけた質問は以下の14問です(スキンケア・アパレル各7問)。「悩み起点」「比較検討」「指名買い」「Amazon名指し」など、買い物の各段階を想定して設計しました。
スキンケア・化粧水
- 35歳女で混合肌で頬と鼻の毛穴に悩んでいて、インナードライ気味です。お勧めの美容液を提案してください。
- プチプラとデパコスでそれぞれで、敏感肌でも使える商品を教えてください。
- 乾燥肌の30代女性が買うべき化粧水をコスパ重視で3つ挙げてください。
- レチノール配合の美容液で初心者でも使いやすいものはどれですか?効果と選び方も教えてください。
- ビタミンC美容液のおすすめを教えてください。プチプラ、ミドル、デパコスそれぞれでおすすめしてください。
- 2026年に人気の保湿クリームをランキング形式で教えてください。
- Amazonで買えるコスパの良い優秀な化粧水を、評価が高い順に教えてください。
アパレル(通勤・オフィス系)
- 30代女が通勤コーデに使えるきれいめなブラウスを教えてください。
- 30代の通勤服で高見えするコスパの良い服を提案してください。
- 30代女性の夏の通勤ジャケット、1万円以内でおすすめを教えてください。
- 30代女性の通勤に使えるきれいめワンピースを探しています。2万円以内でおすすめを教えてください。
- 155cmの30代女性が似合う、きれいめなワイドパンツを探しています。おすすめを教えてください。
- 30代向けの上品見えするトレンチコート、2万円前後でおすすめを3つ挙げてください。
- Amazonで買えるオフィスでも使える無地のきれいめTシャツやカットソー、おすすめを教えてください。
この記事のポイント(Q&A)
生成AIは商品をおすすめするとき、Amazonを参照しますか?
今回のスキンケア・アパレルの調査では、ほとんど参照されませんでした。引用全体に占めるAmazonの割合は約3%で、「Amazonで買える商品を教えて」と明示した16の質問でも、引用されたのは4件(すべてChatGPT)だけでした。AIは主にブランド公式サイトと専門メディアを情報源にしています。
AIに自社商品を引用してもらうには何をすればいいですか?
調査結果からは2点が重要です。1つは自社公式サイトの情報設計(商品の特徴・成分・価格などを構造的に記載すること)。もう1つは、@cosmeやLIPSのような専門メディアでの露出です。この2種類が引用全体の約7割を占めていました。
ChatGPTとGemini、どちらが外部サイトを多く引用しますか?
今回の計測ではChatGPTが圧倒的に多く、1質問あたり平均10.0本のURLを引用しました。Geminiは平均3.1本で、ChatGPTの3分の1程度にとどまります。
化粧品とアパレルでAIの引用傾向は違いますか?
違います。スキンケアカテゴリでは引用の約15%が医療・皮膚科系サイトで、特に成分や効能を問う質問で顕著でした。アパレルカテゴリではこの種の引用は0件です。効果が問われる商材ほど、医療的な裏付けを持つ情報源が引用されやすい傾向が見られました。
AIの引用傾向は計測すれば把握できますか?
把握できますが、一度きりでは不十分です。AIの引用は時期によって変動するため、継続的な計測が必要です。awoo GEO Suiteのようなツールを使うと、自社や競合がどのAIプラットフォームでどれだけ引用・言及されているかを定点観測できます。
※本記事のデータは、awoo GEO Suiteを用いて2026年6月20〜23日にスキンケア・アパレル計104プロンプト(各質問を複数日2回計測)を4つのAIプラットフォーム(ChatGPT・Google AI Mode・AI Overviews・Gemini)で計測した結果に基づきます。引用傾向はカテゴリ・時期・質問内容により変動します。
Webサイトの最適化やGEO/LLMOについて詳しく知りたい方は、awooまでお問い合わせください。